【4月7日(土)–5月27日(日)】
❖市立小樽文学館 企画展「活版印刷物語」【北海道小樽市】※終了
【5月27日(日)】
❖オールライト工房 Muli bwanji?—How are you? from Zambia!【東京都世田谷区】※終了
❖大伸×カキモリ 自分で作る・活版印刷のオリジナル便箋【東京都台東区】※終了
【5月26日(土)】
❖オールライト工房 Muli bwanji?—How are you? from Zambia!【東京都世田谷区】※終了
❖大伸×カキモリ 自分で作る・活版印刷のオリジナル便箋【東京都台東区】※終了
❖なにわ活版研究所 5月度活版ワークショップin大阪【大阪市北区】※終了
❖築地活字 活版活字鋳造見学体験会【横浜市南区】※終了
❖活版倶楽部プライベートプレス・ワークショップ【福岡市城南区】※終了
【5月19日(土)】
❖SUNNYBOYBOOKS「活版と本vol.1-活字を組んで表紙(ポストカード)を刷る-」【東京都目黒区】※終了
❖活版倶楽部プライベートプレス・ワークショップ【福岡市城南区】※終了
【5月12日(土)、13日(日)】
❖URBAN RESEARCH DOORS×関西活版倶楽部 母の日オリジナルメッセージカードワークショップ【大阪市中央区】※終了
【5月7日(月)–12日(土)】
❖【event calendar追加】文林堂 印刷回顧展【福岡市城南区】※終了
活字の小箱—活版印刷のできる印刷会社/印刷所/工房・活版ワークショップ・活版イベントなどに関する情報を収めたささやかな箱です。
a blog offering information on letterpress workshops and events, etc. in Japan
Monday, 2 April 2012
Thursday, 15 March 2012
ベントン彫刻機の特許登録日時について
突然ですが、ベントン彫刻機の特許登録日時について。
特許出願日時:1884年2月29日
登録日時:1885年10月6日
特許番号:327,855
事務的な誤りまたは書き誤り(clerical error)により一度取消。
再登録日時:1885年12月22日
特許番号:332,990
名前の通り、この時の彫刻機は父型を彫る機械だったことに注意。
この時の所属会社はBenton, Waldo & Co.。(→詳しい解説:リン・ボイド・ベントンと所属先)
詳細は、以下の特許情報をどうぞ。
この後改良されて、
特許出願日時:1899年2月17日
登録日時:1906年1月9日
特許番号:809,548
直接母型も彫れるようになる。
この時の所属会社はAmerican Type Founders (ATF)。(→詳しい解説:リン・ボイド・ベントンと所属先)
詳細は、以下の特許情報をどうぞ。
Punch Cutting Machine
![]() |
| (United States Patent and Trademark Officeより) |
特許出願日時:1884年2月29日
登録日時:1885年10月6日
特許番号:327,855
事務的な誤りまたは書き誤り(clerical error)により一度取消。
再登録日時:1885年12月22日
特許番号:332,990
名前の通り、この時の彫刻機は父型を彫る機械だったことに注意。
この時の所属会社はBenton, Waldo & Co.。(→詳しい解説:リン・ボイド・ベントンと所属先)
詳細は、以下の特許情報をどうぞ。
この後改良されて、
Matrix and Punch Cutting Machine
![]() |
| (United States Patent and Trademark Officeより) |
特許出願日時:1899年2月17日
登録日時:1906年1月9日
特許番号:809,548
直接母型も彫れるようになる。
この時の所属会社はAmerican Type Founders (ATF)。(→詳しい解説:リン・ボイド・ベントンと所属先)
詳細は、以下の特許情報をどうぞ。
おわりに
ベントン彫刻機の資料に当たると、日本語文献ではちょっと誤解を生みそうな箇所が散見されるので以下に補足してみる。考案日時について
1884年と1885年とがあるが、特許を取ったものは実は3代目で、この3代目を特許出願したのが1884年、登録が1885年なので、考案自体は1884年以前となる。まだ手元の資料を精読していないので、今のところはここまでしか知り得ていないので悪しからず。何を彫る機械か
1885年に特許登録された彫刻機は父型を彫るためのもので決して母型を彫るためのものではなかった。母型も彫れる彫刻機は1906年に特許登録された彫刻機の方。ベントン本人の所属先
1892年に米国内23の活字鋳造所が合同してAmerican Type Founders (ATF)が設立し、そのうちの1社がベントンが共同経営していたBenton, Waldo & Co.であった。故に1885年当時はBenton, Waldo & Co.に所属していたのであって、ATF社所属ではない。詳しい解説は拙ブログ:リン・ボイド・ベントンと所属先をどうぞ。参考文献
- Cost, Patricia A. The Bentons. RIT Cary Graphic Arts Press, 2011
- ベントン彫刻機についての覚え書き: tonan's blog—こちらにも資料がまとまっています。
- 活字の小箱:リン・ボイド・ベントンと所属先
- Patent US332990 - Machine - Google Patents—上記特許情報がGoogleでも調べられ且つテキストデータにもなっている。
Thursday, 8 March 2012
【開催情報】活版ワークショップ・イベント開催状況 2012年4月版
4月開催の活版WS
【4月7日(土)–5月27日(日)】
❖市立小樽文学館 企画展「活版印刷物語」【北海道小樽市】※ご自由にお越し下さい
【4月29日(日)】
❖【event calendar追加】関西活版倶楽部【どっぷり昭和町】に参加【大阪市阿倍野区】※終了
【4月28日(土)】
❖ベイ・レタープレス 活版印刷 ワークショップ【横浜市西区】※終了
【4月22日(日)】
❖【19:00〜】チェドック&つるぎ堂 活版印刷ワークショップ【東京都千代田区】※終了
❖【15:30〜】チェドック&つるぎ堂 活版印刷ワークショップ【東京都千代田区】※終了
❖【12:30〜】チェドック&つるぎ堂 活版印刷ワークショップ【東京都千代田区】※終了
❖びたみん屋「わくわく総社」イベントにてWS 【岡山県総社市】※終了
【4月21日(土)】
❖活版ラボ(啓文社印刷) LETTER PRESS Work Shop『名刺片面に活字を使用した名刺を作ろう』【神戸市中央区】※終了
❖活版工房 第43回活版印刷ワークショップ ~初心者向け欧文名刺編~【東京都中央区】※終了
❖築地活字 活版活字鋳造見学体験会【横浜市南区】※終了
❖【19:00〜】チェドック&つるぎ堂 活版印刷ワークショップ【東京都千代田区】※終了
❖【12:30〜】チェドック&つるぎ堂 活版印刷ワークショップ【東京都千代田区】※終了
❖【15:30〜】チェドック&つるぎ堂 活版印刷ワークショップ【東京都千代田区】※終了
【4月17日(火)】
❖東京にしがわ大学 文具、紙製品、活版印刷は、好きですか?(杉並区)【東京都杉並区】※終了
【4月15日(日)】
❖『moblo × 九ポ堂 Letterpress Club』vol.1 【神奈川県鎌倉市】※終了
【4月14日(土)】
❖活版倶楽部プライベートプレス・ワークショップ【福岡市城南区】※終了
【4月8日(日)】
❖オールライト工房 fairground#2で活版ワークショップ【東京都世田谷区】※終了
❖京都の加藤第一印刷さんでフリマのお知らせ【京都市左京区】※終了
【4月7日(土)】
❖京都の加藤第一印刷さんでフリマのお知らせ【京都市左京区】(2012年3月25日修正)4月8日(日)の1日のみの開催に変更になりました。
❖活版倶楽部プライベートプレス・ワークショップ【福岡市城南区】※終了
【4月6日(金)】
❖トランクデザイン 活版印刷ワークショップ【神戸市東灘区】※終了
【4月7日(土)–5月27日(日)】
❖市立小樽文学館 企画展「活版印刷物語」【北海道小樽市】※ご自由にお越し下さい
【4月29日(日)】
❖【event calendar追加】関西活版倶楽部【どっぷり昭和町】に参加【大阪市阿倍野区】※終了
【4月28日(土)】
❖ベイ・レタープレス 活版印刷 ワークショップ【横浜市西区】※終了
- 今回はすべて体験ワークショップで、a.データ入稿型ワークショップ、b.テキン・テフート レンタル、となっています。
- 活版印刷の仕組みを学び、活字(アルファベット、数字)を選び集めて印刷までを体験していただくワークショップです。
【4月22日(日)】
❖【19:00〜】チェドック&つるぎ堂 活版印刷ワークショップ【東京都千代田区】※終了
❖【15:30〜】チェドック&つるぎ堂 活版印刷ワークショップ【東京都千代田区】※終了
❖【12:30〜】チェドック&つるぎ堂 活版印刷ワークショップ【東京都千代田区】※終了
❖びたみん屋「わくわく総社」イベントにてWS 【岡山県総社市】※終了
【4月21日(土)】
❖活版ラボ(啓文社印刷) LETTER PRESS Work Shop『名刺片面に活字を使用した名刺を作ろう』【神戸市中央区】※終了
❖活版工房 第43回活版印刷ワークショップ ~初心者向け欧文名刺編~【東京都中央区】※終了
❖築地活字 活版活字鋳造見学体験会【横浜市南区】※終了
❖【19:00〜】チェドック&つるぎ堂 活版印刷ワークショップ【東京都千代田区】※終了
❖【12:30〜】チェドック&つるぎ堂 活版印刷ワークショップ【東京都千代田区】※終了
❖【15:30〜】チェドック&つるぎ堂 活版印刷ワークショップ【東京都千代田区】※終了
【4月17日(火)】
❖東京にしがわ大学 文具、紙製品、活版印刷は、好きですか?(杉並区)【東京都杉並区】※終了
【4月15日(日)】
❖『moblo × 九ポ堂 Letterpress Club』vol.1 【神奈川県鎌倉市】※終了
- ワークショップ参加者に、オリジナル絵柄の凸版と、ひら仮名の活字を自ら組んでいただき、アダナプレスを用いて参加者お一人づつ、栞を10枚ほど刷っていきます。
【4月14日(土)】
❖活版倶楽部プライベートプレス・ワークショップ【福岡市城南区】※終了
【4月8日(日)】
❖オールライト工房 fairground#2で活版ワークショップ【東京都世田谷区】※終了
❖京都の加藤第一印刷さんでフリマのお知らせ【京都市左京区】※終了
- この4月をもって京都の加藤第一印刷さんが、60年余りの歴史に幕を下ろすことになりました。印刷人の魂のこもった品々を、その想いを引き継いでくださる方に託すためのフリマです。
【4月7日(土)】
❖活版倶楽部プライベートプレス・ワークショップ【福岡市城南区】※終了
【4月6日(金)】
❖トランクデザイン 活版印刷ワークショップ【神戸市東灘区】※終了
- 活版印刷の仕組みを学び、活字(アルファベット、数字)を選び集めて印刷までを体験していただくワークショップです。
Tuesday, 6 March 2012
【Ladybird Pressさんのブログから】手フートのカタログといろいろな素材の活字
Ladybird Pressさんが本日、今では貴重な手フートのカタログの写真を抜粋してブログ(『昔の資料:archives once upon a time in J Letterpress period | Ladybird Press』)にアップしてくださいましたのでこちらからも紹介。あと、先月にも貴重ないろいろな素材で作られた活字を紹介(『いろいろな素材の活字:Types made of various materials | Ladybird Press』)されていたのでこちらも紹介しておきます。
Thursday, 1 March 2012
ためになるかどうかはわかりませぬが、活版のまとめ【2012年2月】
今月もためになるネタが少なからず集まったのでまとめてみます。
→Typecases
TYPE
The Dale Guild Type Foundry » Original Centaur Capitals
オリジナルの母型からCentaur Capitalが鋳造・販売されるとのこと。鋳造の模様のビデオあり。![]() |
| (写真はThe Dale Guild Type Foundryより引用) |
いろいろな素材の活字|Ladybird Press Blog
色々な素材で出来た活字、材料を節約する為の工夫された活字の紹介。その時代を反映していて面白い。![]() |
| (写真はLadybird Press Blogより引用) |
The Alembic Press
特に活字箱のレイアウトの種類の解説ページがマニアック過ぎて面白い。→Typecases
BOOK
The Bentons
2人のベントン、リン(ATF社の書体デザイナーでベントン彫刻機の発明者)とモリス(ATF社の書体デザイナー、Bank Gothic、Franklin Gothic、News Gothicなど多数デザイン)の伝記。序文はマシュー・カーター氏。![]() |
| (写真はRIT Cary Graphic Arts Pressより引用) |
VIDEO
Learning Typesetting
組版ステッキでの文字組みの仕方。活字を天地逆さにして組む理由が分かった!1つは活字を左から右へ組めるため、2つは活字のネッキが上になり左親指の腹での確認が出来るため。なるほど〜。【開催情報】活版ワークショップ・イベント開催状況 2012年3月版
3月開催の活版WSはちょっと少なめですが、各地で開催予定。
【3月3日(土)】
❖ベイ・レタープレス 「体験WS」と「オーダーメイドWS」【横浜市西区】※募集終了
【3月10日(土)】
❖(福岡の)活版倶楽部プライベートプレス・ワークショップ【福岡市城南区】※募集終了
【3月24日(土)】
❖ナガサキリンネ・ワークショップ「活版印刷で届ける手紙〜愛しい長崎の風景とともに〜」【長崎市】※募集終了
❖トランクデザイン 活版印刷ワークショップ【神戸市垂水区】※募集終了
❖活版工房 第42回活版印刷ワークショップ ~初心者向け和文名刺編~【東京都中央区】※募集終了
❖なにわ活版研究所 3月度活版ワークショップin大阪【大阪市北区】※募集終了
❖(東京の)活版倶楽部 第2回ワークショップ【東京都台東区】※募集終了
【3月25日(日)】
❖ナガサキリンネ・ワークショップ「活版印刷で届ける手紙〜愛しい長崎の風景とともに〜」【長崎市】※募集終了
【3月31日(土)】
❖(東京の)活版倶楽部 第3回ワークショップ【東京都台東区】※募集終了
❖ジョウモウ大学 【第2回】震災の影響で散乱してしまった活字を分類して、棚に戻す現状復帰のお手伝い!【群馬県高崎市】※募集終了
【3月3日(土)】
❖ベイ・レタープレス 「体験WS」と「オーダーメイドWS」【横浜市西区】※募集終了
- 体験ワークショップ→実際にテキン・テフート(手動活版印刷機)を使用して、レタープレス・活版印刷を体験できます。
- オーダーメイド・ワークショップ→サンプルを参考に相談しつつ、用紙からインキを自由に選んでオリジナルの活版印刷のアイテムを作成。活版印刷は、ベイ・レタープレスが責任を持って印刷し、後日お渡し。
【3月10日(土)】
❖(福岡の)活版倶楽部プライベートプレス・ワークショップ【福岡市城南区】※募集終了
- 自分でデザインしたものを自分で印刷するという、いたってシンプルなワークショップ。
【3月24日(土)】
❖ナガサキリンネ・ワークショップ「活版印刷で届ける手紙〜愛しい長崎の風景とともに〜」【長崎市】※募集終了
❖トランクデザイン 活版印刷ワークショップ【神戸市垂水区】※募集終了
- 活版印刷の仕組みを学び、活字(アルファベット、数字)を選び集めて印刷までを体験していただくワークショップです。
❖活版工房 第42回活版印刷ワークショップ ~初心者向け和文名刺編~【東京都中央区】※募集終了
❖なにわ活版研究所 3月度活版ワークショップin大阪【大阪市北区】※募集終了
- 手フート1人1台の割り当てですので思う存分印刷を楽しめる、名刺印刷コース・はがき印刷コース。そして今回は、初めてアメリカ製のプルーフプレスVandervookのコースも用意。B4まで印刷可能。
❖(東京の)活版倶楽部 第2回ワークショップ【東京都台東区】※募集終了
- 今回は初級編です。活版の一連の流れを体験してください。たくさんの活字が陳列された活字ケースから活字を一本一本拾い(取る)、活字を組み(並べる)、手キンを引く(刷る)ことが体験できるワークショップです。
【3月25日(日)】
❖ナガサキリンネ・ワークショップ「活版印刷で届ける手紙〜愛しい長崎の風景とともに〜」【長崎市】※募集終了
【3月31日(土)】
❖(東京の)活版倶楽部 第3回ワークショップ【東京都台東区】※募集終了
- 今回は初級編です。活版の一連の流れを体験してください。たくさんの活字が陳列された活字ケースから活字を一本一本拾い(取る)、活字を組み(並べる)、手キンを引く(刷る)ことが体験できるワークショップです。
❖ジョウモウ大学 【第2回】震災の影響で散乱してしまった活字を分類して、棚に戻す現状復帰のお手伝い!【群馬県高崎市】※募集終了
- バラバラになってしまった活字を分類して、 棚に戻して整理する現状復帰のお手伝いをしながら活版についての勉強会も兼ねています。2012年03月21日付の朝日新聞デジタル:震災逆手 活字に注目-マイタウン群馬に第1回目の模様が取り上げられています。
Monday, 13 February 2012
「活版印刷」と「凸版印刷」という語について
先日、ほんのちょっとだけTwitteで話にあがって気になった2つの語「活版印刷」と「凸版印刷」。
そもそもは、活字を使うのを「活版印刷」、樹脂凸版や金属凸版などを用いるのを「凸版印刷」とに区別すべきか否かという話であった。
で、このように区別して呼べばよいのかどうか、否、そもそも2つの語の違いは如何なるものか、そして各々の語の定義は如何なるものか、その結果別の語で呼ぶ方が良いのかどうか(「凸版印刷」は社名として浸透しているし)、以下に調べた結果を書いてみる。
以上より、「活版印刷」には2つの意味があることが分かる。
以上を踏まえると、「活版印刷」には3つの意味があることが分かる。
ゆえに、いわゆる樹脂凸版や金属凸版など、狭義の活版印刷以外の版を用いた印刷を「活版印刷〈広義の〉」または「凸版印刷」と呼んでも差し支えない。
しかし、職人さんはこだわる方が多いのもまた事実である。
もしかしたら、活字も鉛版も樹脂版も金属版も何でも扱えるような印刷会社では、活版印刷機に掛けられる版での印刷は十把一絡げに「活版印刷〈広義の〉」とし、活字メインでやられてる処では「活版印刷〈狭義の〉」のままであったのかもしれないな、とも思う。
では、「樹脂凸版」や「金属凸版」はどのような区分に収まるのか。その区分定義は以下のようになる。
上記の通り、「活版印刷〈狭義の〉」と同列に並ぶ(注)。
注:本当は「金属凸版」、「感光性樹脂版」ともに「写真凸版」の下位区分であるが、説明の便宜上上記のように扱う。詳細は下記「補足」を参照のこと。
ただ、1つだけ注意したいがある。それは、活字を使ってますと云いながら実際は「樹脂凸版」や「金属凸版」などで印刷するという行為。このコトについては、なに活さんのブログ『活版印刷?凸版印刷?レタープレス?|なにわ活版研究所(なに活)Letterpress studio Osaka JAPAN』にて書かれているので、そちらも併せてお読みあれ。
他に、版の素材別の分類方法も考えられるが、知識不足ゆえまた後ほどということで。
そもそもは、活字を使うのを「活版印刷」、樹脂凸版や金属凸版などを用いるのを「凸版印刷」とに区別すべきか否かという話であった。
で、このように区別して呼べばよいのかどうか、否、そもそも2つの語の違いは如何なるものか、そして各々の語の定義は如何なるものか、その結果別の語で呼ぶ方が良いのかどうか(「凸版印刷」は社名として浸透しているし)、以下に調べた結果を書いてみる。
活版印刷
文字の印刷を主とする凸版式印刷の一種。本来は活字を組んで組版を整え、これを印刷する技術であったが、鉛版・電鋳版・樹脂凸版など各種の複製版が発明されてからは、これらの諸版による印刷をもすべて含むようになった。活版印刷は最も利用範囲の広い文字の印刷を主にとし、長い間書籍・新聞・雑誌などが活版印刷によって生産されてきた。
(社団法人日本印刷学会編. 第五版 印刷事典. 印刷朝陽会, 2002, 672p.【p.116】)
以上より、「活版印刷」には2つの意味があることが分かる。
うむ、「狭義の活版印刷」はよくわかるが、ややこしいのは「広義の活版印刷」。どう読んでも「凸版印刷」とほぼ同義に思える。ということで、次に凸版印刷をば。
- 活字組版での印刷。凸版印刷の下位区分。(本来的な意味での活版印刷。以下、「活版印刷〈狭義の〉」と呼ぶ。)
- 活字組版だけでなく、鉛版・電鋳版・樹脂凸版・写真凸版なども含む版による印刷。凸版印刷とほぼ同義。(意味の拡張された活版印刷。以下、「活版印刷〈広義の〉」と呼ぶ。)
凸版印刷
画像部が非画像部より突起している印刷版を用い、画像部に印刷インキを着け、被印刷物に転移させる印刷方式。凸版印刷用の版には、活字組版・鉛版・線画凸版・網凸版・原色版・電鋳版・ゴム版・プラスチック版・感光性樹脂版などがある。やはり「活版印刷〈広義の〉」にほぼ同義である。
(社団法人日本印刷学会編. 第五版 印刷事典. 印刷朝陽会, 2002, 672p.【p.369】)
転義
実は「活版印刷」に関しては、もう1つ意味が発生してきている。というのも、最近の傾向として使用する版の形式の視点ではなく、もとの意味から転じた視点、つまりは活版印刷機を使った印刷を「活版印刷」と呼ぶという、印刷機の形式からの視点である。
以上を踏まえると、「活版印刷」には3つの意味があることが分かる。
- 活字組版での印刷。凸版印刷の下位区分。(本来的な意味での活版印刷。以下、「活版印刷〈狭義の〉」と呼ぶ。)
- 活字組版だけでなく、鉛版・電鋳版・樹脂凸版・写真凸版なども含む版による印刷。凸版印刷とほぼ同義。(意味の拡張された活版印刷。以下、「活版印刷〈広義の〉」と呼ぶ。)
- 活版印刷機を使った印刷(意味の転じた活版印刷。以下、「活版印刷〈転義の〉」と呼ぶ。)
結論
以上、参照の少なさが些か気になるが、結論は以下のように2つになる。1.版の形式による分類
凸版印刷(凸版①)≒活版印刷〈広義の〉
┃
┗━活版印刷〈狭義の〉
ゆえに、いわゆる樹脂凸版や金属凸版など、狭義の活版印刷以外の版を用いた印刷を「活版印刷〈広義の〉」または「凸版印刷」と呼んでも差し支えない。
しかし、職人さんはこだわる方が多いのもまた事実である。
もしかしたら、活字も鉛版も樹脂版も金属版も何でも扱えるような印刷会社では、活版印刷機に掛けられる版での印刷は十把一絡げに「活版印刷〈広義の〉」とし、活字メインでやられてる処では「活版印刷〈狭義の〉」のままであったのかもしれないな、とも思う。
では、「樹脂凸版」や「金属凸版」はどのような区分に収まるのか。その区分定義は以下のようになる。
凸版印刷(凸版①)≒活版印刷〈広義の〉
┃
┣━活版印刷〈狭義の〉…主に活字で組版した版を用いた印刷
┣━金属凸版
┗━感光性樹脂版(樹脂凸版)
上記の通り、「活版印刷〈狭義の〉」と同列に並ぶ(注)。
注:本当は「金属凸版」、「感光性樹脂版」ともに「写真凸版」の下位区分であるが、説明の便宜上上記のように扱う。詳細は下記「補足」を参照のこと。
2.印刷機の形式による分類
つまりは、版の形式に拘らず、活版印刷機を使った印刷を「活版印刷〈転義の〉」と呼んでも差し支えないのではないか、ということである。3.まとめ
というわけで、現在では「活版印刷」の語義には3つ併存していることが分かった。基本的にはそのままで良いと思われるが、厳密に区分するならば、「活字組版」での印刷と「樹脂凸版」「金属凸版」での印刷の呼称を分けた方が良いように思われる。「活字組版」での印刷は従来通り「活版印刷〈狭義の〉」、「樹脂凸版」や「金属凸版」を用いた活版印刷機での印刷は、「金属凸版印刷(金属版印刷)」や「樹脂凸版印刷(樹脂版印刷)」など、使用した版名で呼ぶのが良い、のかと思う。如何だろうか?ただ、1つだけ注意したいがある。それは、活字を使ってますと云いながら実際は「樹脂凸版」や「金属凸版」などで印刷するという行為。このコトについては、なに活さんのブログ『活版印刷?凸版印刷?レタープレス?|なにわ活版研究所(なに活)Letterpress studio Osaka JAPAN』にて書かれているので、そちらも併せてお読みあれ。
補足
以上について調べるついでに、「凸版印刷」の種類を見つけた分だけ以下にあげておく。知らないモノが多く区分がおかしいかも知れないが、そこはどうかご寛恕を。凸版印刷(凸版①)≒活版印刷〈広義の〉
┃
┣━活版印刷〈狭義の〉
┃ ┣━膠泥活字[1041年]
┃ ┣━木活字[1300年代前半]
┃ ┣━銅活字[1400年前後]
┃ ┣━鉛活字[1445年頃]
┃ ┣━真鍮活字[1519年]
┃ ┣━鉄活字[1808年]
┃ ┣━錫活字[1860年頃]
┃ ┣━ガラス活字[1926年]
┃ ┣━陶活字[1943年]
┃ ┣━合成樹脂活字[1960年]
┃ ┗━硬質活字(亜鉛合金)
┃
┣━写真凸版
┃ ┣━線画凸版(凸版②)
┃ ┃ ┣━金属凸版
┃ ┃ ┃ ┣━亜鉛凸版(亜凸)
┃ ┃ ┃ ┣━銅凸版
┃ ┃ ┃ ┗━マグネシウム版
┃ ┃ ┃
┃ ┃ ┗━感光性樹脂版(樹脂凸版)
┃ ┃
┃ ┣網凸版(写真版・網目凸版)
┃ ┃ ┣━金属凸版
┃ ┃ ┃ ┣━亜鉛網版(写真亜鉛版)
┃ ┃ ┃ ┣━銅凸版(写真銅版)
┃ ┃ ┃ ┣━マグネシウム版
┃ ┃ ┃ ┗━アルミ凸版
┃ ┃ ┃
┃ ┃ ┗━プラスチック版
┃ ┃
┃ ┗━原色版
┃
┣━鉛版
┃
┣━ゴム版
┃ ┣━手彫り版
┃ ┗━鋳造版
┃
┣━電鋳版(電気版・電胎版)
┃
┣━木版(整版)
┃
┣━PS凸版
┃
┗━(電子彫刻凸版)
(社団法人日本印刷学会編. 第五版 印刷事典. 印刷朝陽会, 2002, 672p.)
他に、版の素材別の分類方法も考えられるが、知識不足ゆえまた後ほどということで。




